ある人がいつも「大好きな映画」と言ってて気になってた邦映画『ヒミズ』をDビデオで観た。
古谷実原作の人気漫画を映画化した衝撃作で、ベネチア国際映画祭では、主演の二人が新人俳優賞を受賞したという話題つき。
善・悪、美・醜、常識・非常識、優・劣、変・普通、正気・狂気、幸福・不幸、陽・陰・・・ 人間生きてると、その感情はそんな相反するものの中でピンボールのように延々はじかれ続ける。
物語の中では特殊な家庭事情に起因する「父親を殺す」という出来事がきっかけで若者の日常が絶望と狂気に豹変してゆく様が描かれている。次々に雪崩式に起こる悲惨な出来事は、そんな混沌を観る者に突きつけ、主人公と一緒に狂気の闇にひたすら落下させる。
このまま破滅? 出口はある? 光はどこに?
いやいや、そんな複雑なことではなかった。
答えはあまりにもシンプルだった。
「がんばれ自分!」
一歩目は、本気でそれが言えること。
この理不尽なジェットコースターのような混沌の中を、"立派な大人"として生きてゆくためには、世の中がどうとか、環境がどうとか、周りの他人がどうとか、仕事がどうとかでなく、『自分がどうするか』ってことだけ。
"それだけ"だけど…それが"全て"。
自己発電で「がんばれ!」と自分に言って、「生きる!」と決意宣言することが全ての根源でありはじまり。
そして
「がんばれお前!」
誰かが、上っ面でない使命感でそれを絶叫してくれること。
映画のオーラスで二人が狂ったように走りながら絶叫し続ける「がんばれ住田!」という言葉になぜか涙が止まらなくなった。
そうだそうなんだ! 頑張れ自分なんだ。
「それでも、生きて生きて生き続けろ自分」なんだ!
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