2018年8月31日金曜日

心を病んだヒーローたち

 

僕は時々、心にちょっとした問題があって登校拒否や引きこもりになってる子供さんと会って話しをすることがある。
僕は心理や医学を正しく学んだわけではないし、カウンセラーでも何でもないのだが、僕の"問題のあった過去"を知っている知人が「問題のある子がいるので一度だけ話をしてくれないか?」と声をかけて来るのだ。

楽になって欲しいと言う想いは強くあるが、これ、美談ではない。

よくある… 不良少年を更生させるために元不良で今は更生してる大人と話させるあの雑多な手法と同じだ。

僕は笑顔で自分のSTORYを語るだけ。
今ここに生きてる気持ちを語るだけ。
でも、なぜか変化が見える事がある。

心に問題を抱えている子供には、周りの人の愛情が最も必要だが、どんなに強い想いがあっても、傷ついたことのない大人に傷ついた子供の気持ちを理解してやれるはずがないし、残念ながら、そんな子供を言葉で抱きしめてやることはできない。

彼ら彼女らはちょうど同じ目線の会話も強く求めている。
「それは僕も経験あるよ」っていう肩を抱くような安堵の一言。
「体験者」であり「病みを乗り越えた生き証人」の存在が「共感」を与え、それが小さな小さな光となる。

そう考えると、かつて心を病んでいた人間も世の中に不可欠な要素なのだと実感できる。

最近はドラマや映画でも「心を病んだヒーロー」が活躍している。

映画『コンサルタント』に登場した高機能自閉症の殺し屋=クリスチャン・ウルフ。ドラマ『クリミナル・マインド FBI行動分析課』に登場する自閉症と統合失調症でIQ187の捜査官ドクター・スペンサー・リード。ドラマ『ハンニバル』の自閉症ゆえの「共感力」で活躍する捜査官ウィル・グレアム。ドラマ『アウトキャスト』の自閉症の除霊師カイル・バーンズ 。
冷静に見渡してみると「心を病んだキャラクター」の活躍を至る所で見かける。
スーパーヒーローではないかもしれないが、もっともっと人間的で苦しみながら目的を果たす生々しいヒーロー達だ。

心を病んでいる人が急増しているというマーケティングの結果に基づいたドラマのトレンドという味気ない言い方も間違いではないが、私は、時代が「心の病み」は「能力」であり「個性」だと気付き始めたのかなとも感じている。

僕が持っている共感力(Empathy)は自分を傷つけて苦しいだけのものではなく、病める人に少しは安らぎを提供できるものだった。

そう考えると…
この世の中に無意味なものなどひとつもない。全ての出来事に意味がある。
そんな、過去にどこかの誰かが綴った正体不明な言葉が、真実と化して僕の生き方の背を押す。

時代は病んでいる。
だから人が病むのはおかしなことじゃない。
でも、人間は、自分はどんどんと変化できる生き物だという自信をもっと強く持っていいのだ。


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