僕が密かに"音楽の師"と仰いでいる"ブライアン・イーノ"さんは環境音楽の教祖みたいなアーティストです。
環境音楽というのは、空間を快適に演出するBGM音楽のことなんですが、大音量で雰囲気を無理やり作るんじゃなくて、聞こえるか聞こえないか位の音量で控えめに流れて、リラックスした雰囲気を作ってしまう"能ある鷹は爪隠す"的にすごい音楽なのです。まるで空気や家具のように、存在は気にならないのに、明らかにその部屋の雰囲気を作ってしまうんです。
1970年代後半…そんな音楽のあり方を提言したのがイーノさん。
元々は超ケバいロック・バンド"ROXY MUSIC"のメンバーだったのに、交通事故で入院して動けないベッドの上でこの音楽のスタイルを思いついたとか。
彼が環境音楽を提言した時代に作っていた音楽は、具体的に、どんな音かと言うと…
ぼわーんとした雲の中で水滴のような綺麗なピアノの音が流れてる、ちょっと神秘的で穏やかな雰囲気。 メロディーは優しげだけど、聞く人の感情までは動かさない謙虚さです。最初は印象に残るメロディーも聴いているうちに、頭の中にどんどん溶けて行くような感触。
一人でボーッとしてる時… お風呂に入ってる時なんかもとてもいいです。
イーノさんの音楽を流していると、脳が分厚いセーターを一枚脱いで、自由に解き放たれたようなフィーリングになってきます。
脳が解き放たれたことで、すべての思考が"善"に向かいはじめます。
悲しみ・怒り・不安なんかを、逆撫でることなく、柔軟になった心が吸収しはじめて、そんな"負の感情"も上手に受け入れることができるような気がしてくるのです。
このイーノさんは、楽器が特別上手という訳ではありません。
すごい高価な楽器を使ってるわけでもありません。
旧式のシンセサイザーとかオンボロのギターとかベースを今でもメインに使っています。
でも、色々な音を作ったり、音に新しい色をつけたり、音を混ぜ合わせたり、編みあげたりするセンスが非凡なんです。
音楽と戯れる穏やかな天才=それがブライアン・イーノさんです。
皆さんにもオススメします。
1978年に発表された『ミュージック・フォー・エアポート』(イーノさんが空港の待合室の為に作った音楽です)は、ぜひとも一生に一度は体験していただきたい"癒しの環境音楽"の名作です。
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